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感想:「虫と歌 市川春子作品集」

虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)
(2009/11/20)
市川 春子

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本屋で最初の一編「星の恋人」を全て立ち読みできるようになっていたので、なんとなく読んだところ、これはすごい。これはすごい!というわけでつい購入してきました。だって、「彼女は 僕の指だった」ですよ。鳥肌。
そうしたら、他の作品もどれも大変によかったです。本当にいいものに出会いました。

以下、あらすじをAmazonより引用しますが、これを読んで想像するのと実際の物語はまた違う感じです。しかしそこをもっと突っ込んだあらすじにしてしまうと、途端にネタバレになってしまうので、うーん。触れていただくのが一番です。

・僕の妹は、僕の指から産まれた。妹への感情は兄妹愛のそれを超え、「ひとつになりたい」と願う。(『星の恋人』)
・飛行機墜落事故で生存した大輪未来と天野すみれ。助け合う二人に、意外な形で別れの時は来る。(『ヴァイオライト』)
・肩を壊した高校球児の雪輝。日々""成長""を続けるヒナとの出会いで、彼が見つけたものは――。(『日下兄妹』)
・3人の兄妹が暮らす家に夜の闖入者、それは虫であり弟であった。共同生活を始めた彼と兄妹たちの距離は縮まりーー。(『虫と歌』)

独特の、ゆっくりときれいな、けれど優しいだけでない空気が流れている作品です。
まるで詩集のような、素敵な単行本でした。大切にしたいです。

以下、ネタバレ感想。
・星の恋人
まず設定にやられました。植物……!
さつきとつつじは、互いに男女の姿をしてはいますが、植物という単性生殖の出来る生物であり、「兄妹」であります。それはつまり、男女のようでありながら男女の関係ではありえない微妙な関係に沿った設定ではないかと感じました。
「彼女は 僕の指だった」って、なんときれいな言葉。もうその一言に色々と凝縮されている。

・ヴァイオライト
2回読んだ段階で人に布教のため貸してしまったので、ラストの解釈にまだ悩んでいます。
ぞっとするような美しさとかすさまじさのある作品。

以下、まだ一度しか読んでいません。もったいないですがどうしても人と語り合いたかったので布教を優先。

・日下兄妹
買った帰りに読んだ電車の中で、泣きそうになりました。
肩を痛め、野球の出来なくなった雪輝。突如現れ、成長し続ける謎すぎる生物にして「妹」、ヒナ。
言葉もないのに、奇妙で不思議でかわいくてけなげで、最終的には美しい、ヒナ。
そこにあるのは何かきれいな感情だよなあ、と思いました。たまりませんでした。

・虫と歌
表題作、四季賞大賞。
兄の不思議な仕事、「帰ってきた」しろう、そして。
静かに終わっていく終盤の展開に、ぐっと来てまた泣きそうになりました。
息子であり娘であり、弟であり妹であり。

全体的に、人でない何かと人の話なのですが、人外の方が、植物、雷、星屑、人工の昆虫、と、どこか無機物に近い、それでもエネルギーを持った何か、なのですよね。しみじみします。

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