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暴力シーン苦手だけどマッドマックスのそれは好きだ

※この文章はあくまで個人の感想であり、
暴力シーンが苦手でもマッドマックスなら大丈夫だよ見ろ!と無理におすすめする意図はありません
※ソース脳内だけで書きなぐっているのであちこち間違っていたらごめんなさい

私は、実写の暴力シーンが苦手だ。とくに、一方的で反撃の余地のないもの、暴力シーンそのものが目的になっている(サービスシーン的な)もの、理不尽なもの、暴力以外の見どころがあまりないもの、あたりが。

劇場で「マッドマックス 怒りのデスロード」(以下「マッドマックス」表記)の予告編が流れるたび、私は目を伏せて終わるのを待っていた。まさに私の苦手なシーンがたっぷり詰まっているように感じられたからだ。
(結論から言うと、マッドマックスは、暴力シーンのためだけに暴力シーンをやるだとか、暴力以外の見どころがないとか、そんな映画ではなかったのだが)

マッドマックスの予告編に苦手意識を感じていた私が、それでもこの映画を見に行ったのは、公開後にTLにあふれた感想のおかげだった。普段野蛮なものを好まない人や、何を見ても冷静に分析するような人までが、熱に浮かされたようにこの映画を褒めていた。とくに、「神話だ」「セリフに頼らないシナリオ」「単純なプロットなのに驚くほど面白い」「イモータンジョーの支配構造考察」「ジェンダーの観点から」辺りの話に心惹かれた。

いざ見始めてみると、前半——具体的に言うと、フュリオサがある事実を知らされてしまうまで——は、「面白いし、上手い映画だが、しんどい」というのが本音だった。次から次へと繰り広げられる荒々しく泥臭い暴力や爆発に、私は身をちぢこまらせ、息を止めていた。

だが、前述のシーン辺りから、私は急速に引き込まれていく。それまでの部分が私には魅力的でなかった、というわけではない。そのシーンをきっかけに、私がこの映画の良さを感じ取れるようになったのだ。
フュリオサの絶望がダイレクトに胸に迫る美しい「静」のシーンによって、今までの騒々しさ、荒々しさがどれだけ意図的に組み上げられたものか気づいた。この映画は、ド派手なシーンを何も考えず山盛りにしたような作品ではない。もちろん観客は何も考えずに楽しむことが出来るのだが、それすら「難しく考え込む必要がなく、感情や感覚で楽しめる」ように練られているゆえではないか。

こうして振り返ってみると、とにかくよく練られた作品なのだ。
たとえばニュークスが「木」を知らないくだりの情報量はすごい(女たちは知っている、というのがまたいい描写なのだがここでは触れない)。
ウォーボーイズたちは知識が(驚くほど)ないが、機転をきかせるだけの知恵はある。それなのに彼らがあまりにも蛮勇なのは、それしか無いからだ。環境が、数少ない知識が、存在意義を与えてくれる価値観が、彼らを駆り立てる。彼らは他に承認欲求を満たす行為を知らないのだ。そう考えると、ここまでの彼らの馬鹿馬鹿しく暴力的な行動の数々が急に意味を持ち始めた。あれは単に映画にスリルや華やかさを与えるためではなく、彼らを真に描写するために必要だったのだ。

マッドマックスは、単純にカットできるシーンがほとんどない、情報量が画面いっぱい尺いっぱいに詰まったすごい映画だ。
画のインパクトや説得力で言葉でなしに世界観を理解させたり、ディテールにも注意が払われていたりするので、画面の隅々まで「この世界ならそうだろうな」と頷ける。
それなのに決して押し付けがましくも説教くさくもない。すごくて、興奮して、燃えて、ヤバい。褒めるのに複雑な語彙が要らない。
それは何も考えずに作ったからではなく、考え抜いて作ったからこそだ。描きたい「すごさ」を、見ればそれだけで伝わるレベルまで落とし込むために作り手がどこまでも本気だったからだ。
(実際、監督のインタビューなどを読んでみると、かなり色々なことを考えて作ったのが分かる。無声映画としても見られるように作ったというのには膝を打った。画面の情報量、セリフのないシーンでのキャラクターの雄弁さ、音に頼らない映像のテンポなどが本当に素晴らしい)

結局何が言いたいかというと、マッドマックスすげええええ!!!ということだ。すごい。すごいぞこれは。

「この野菜は基本的には嫌いなんだけど、この調理法なら好き」のような気づきを与えてくれて本当にありがとう。おかげで、これからはもう少し食わず嫌いせずに色々な作品に触れられるだろう。

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